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状態説

 催眠の資料を調べてると,催眠に対して様々な考え方があったことが分かります.その昔は,動物磁気というなんだか良くわからないパワーが催眠を引き起こすのだと思われていたことがありました.動物磁気はその後,違うだろうと否定されました.
 そんな,催眠の諸説の中で「状態説」というものがあります.それは,催眠は催眠状態という状態であって,その状態になるから暗示どおりの行動をするというものです.催眠をやっているひとは,大抵この状態説を素朴に信じているようです(そんなこと考えてもない人がほとんどですけど).その逆で,「非状態説」という説もありまして,それは催眠は状態ではなく,様々な相互作用の中で起きるものである,というものです.非状態説は,放って置いて今回は状態説について考えてみましょう.
 催眠が催眠状態という特殊な状態で,その状態にさえなれば良い,という考え方は「催眠帯(だったような)」という考え方にも反映されています.体のある場所を押さえると,催眠状態になるというものです.他にも頚動脈圧迫法もそれにあたるでしょう.回頭法なども同じように,「状態」というものを考えるからこその方法だと考えられます.しかしながら,この「状態説」では説明できないことが沢山あります.先ずは,催眠状態になれば暗示を受け入れる,と言う割には,催眠者以外の暗示に従わない時があります.もちろん,催眠者が被催眠者に対して「誰の暗示もうけいれる」とすれば,暗示に反応しますが,そういう暗示をしない状態で,他の人が暗示を言っても反応しないことがあります.これは,状態説だとちょっとおかしい現象です.と言うと「催眠”状態”でも意識はあり,催眠者を選ぶことができるんだ」と反論を受けそうですが,それはすでに状態説では無くなってきているのです.同じように,催眠が深い”状態”という事も言いますが,前にも書いたように,深化などせずに幻覚を見る人もいるし,逆に深化させても何も反応しないこともあります.
 状態説の行き着く先として,脳の問題を主張する人が居ます.催眠は,普段とは少し違う行動をとるのだとしたら,普段とは違う脳の働きが起きてもおかしくはないでしょう.しかし,状態説を信じ切っていると,脳が○○になったから,催眠である,という風になってしまいますが,私は逆で催眠的な行動をするから脳が○○になる,という方が正しいと考えます.現段階で,催眠を脳の働きで完全に説明することはできていません(そもそも,脳の働きが良くわからない部分が多いので,そちらが先でしょう).
 私は催眠は状態ではないと考えています.そして,状態説を捨てることによって,現代催眠の誘導が理解でき,使えるようになりました.どっちが正しいかを議論する気はないのですが,一度,催眠が状態なのかどうか,考えてみるとおもしろいのではないでしょうか.

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