« 脱催眠論「アンジ」 | トップページ | 間違った推論 »

脱催眠論「現代催眠とか」

 催眠という言葉は,使う人によって様々な意味になります.そこら辺の事は何度かこのブログにも書いていますけど,それは催眠について文章を書くときに困る一つの原因です.催眠に関する共通の認識がないんですよね.このブログのコンテンツのひとつにある爆笑催眠講座では,大胆にも分かり易く分類しているんですけど,それが標準というわけでもないですし,催眠で商売している人は,催眠が色々な意味を持つ方が商売しやすいですしね,この傾向は変わっていかないのかなあ,と最近は思います.
 さて,催眠の定義ばかり話していても仕方がないので,そこをすっ飛ばしてちょっと違う話を書きたいと思います.それは現代催眠について.現代催眠とは,医者であったエリクソンという人が使った催眠の事です.彼の使った催眠は,それまでの儀式的な催眠とは違って,催眠という言葉も,何かを見つめさせたり,頭をぐるぐる回したり,何度も暗示を唱えたりすることなく,自然に話しているだけで催眠にしてしまうという,まったく新しい物でした.この現代催眠は,大抵古典催眠と言われる儀式的な催眠に限界を感じると,みんな手を出すようです.その昔,僕がオフ会に参加していたころ,やはりある程度催眠が出来る人たちの間である本が流行しました.その名も「催眠誘導」という本です.エリクソンの催眠をグリンダーとバンドラーが公式化したようなものです.この本は,確かに現代催眠の片鱗を知る上では役に立ちました.しかし,翻訳ものだしちょっとわかりにくいところもありました.それでも,本に書いてあるエクササイズなどをやって,現代催眠の感覚をつかむことはできるでしょう.
 つぎに,「コミュニケーションのための催眠誘導」という本が流行りました.現在では,コールドリーディングで有名になった石井さんが書いた本です.この本は,エリクソンの催眠を恋愛に応用するという形で分かり易く書かれたものです.使われる例もわかりやすく,まるで催眠とは思えないテクニックに,当時私もかなり影響を受けました.そして,何度か石井さんの勉強会に参加させてもらいました.そこで,石井さんの現代催眠の誘導法を見たり,体験したのが,実はその後の私の催眠に関する考えにとても役に立ちました.今では,もう催眠のワークショップはやらないでしょうから,貴重な体験と言えるでしょうね. 
 さて,そんな現代催眠のテクニックから有名なダブルバインドを取り上げましょう.選択肢を提示することによって,どっちを選んでもこっちの思惑通り,みたいな方法らしいです.らしいというのは,本来の意味でのダブルバインドは,ちょっと違うからです.まあ,といってもむつかしい話はおもしろくないので,その選択肢を選ばせるのをダブルバインドとしましょう.この方法の解説を聞くと,なるほど,たしかに,使える,等と思うかも知れませんが,実際問題,選択肢をだしても,どちらも拒否されたらおしまいです.というか,私が実際使ったときに,どっちも嫌だと言われたことは何度もあります.この,ダブルバインドは解説ほど上手くはいかないし,そこまで強力ではありません.ここらへんは,これまたこのブログで書きましたけど,どの技法と呼ばれる物も必殺技ではないので,それをやれば必ずこうなる,という物ではないんですね.それにしても,ダブルバインドはそれだけでは上手くいかない.足りない物があるなあ,と私は思います.
 日本の野球界の英雄,長島茂雄さんがいますよね.彼はとっても野球が上手いです.しかし,野球指導の時のVTRをみると「ビューっと」とか「ズバッと」とか擬音で表現して,なかなかそのコツがつたわりません.その動きが出来ることと,それを伝えることができる能力は別なんだなあと思います.催眠に関しても,素晴らしいショー催眠をする人でも,人に教えるときに,良くわからない曖昧な言葉しか言わなかったり,つじつまが合わなかったり,どうとでも解釈できる言葉だったり.それでも,その人の下で練習していれば,それなりに出来るようにはなるでしょう.だけど,それはその人の指導が無くても,それだけ練習していれば出来るようになったでしょう.ダブルバインドも,上手くエリクソンの方法を解説しているけど,実はそれだけでは全然足りないんですよね.グリンダーとバンドラーは,すごい人たちでダブルバインドも使いこなせているのかも知れませんが,伝えるときに重要な部分を伝え切れていないと思います.石井さんの勉強会ではそこら辺のことも何度も聞きましたが,それは本には書いて無かったと思います.私がこのブログであえて書いてない部分は,その石井さんが本に書いていなかった部分とほぼ同じなんですよね.
 現代催眠は,小手先のテクニック解説では使いこなせないなあと感じています.というか,大事な部分がわかれば,逆に小手先のテクニックはいらないんですよね.さあ,それは何なんでしょう? みなさんも考えてみてはいかがでしょうか.ヒントは,ここで紹介する本の中にあります.読んで気づいて,是非脱催眠してください.

|

« 脱催眠論「アンジ」 | トップページ | 間違った推論 »

脱催眠論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/25633/6886587

この記事へのトラックバック一覧です: 脱催眠論「現代催眠とか」:

« 脱催眠論「アンジ」 | トップページ | 間違った推論 »