第六回 ○△□で公式
前回のまとめから
「こんにちはエリちゃん,久しぶりですね」
「こんにちは高国さん,ホント久しぶりですよ.何してたんですか?」
「いやあ,僕も忙しくてねえ.忙しいという漢字は”心”を”亡くす”と書くけど,どんなに忙しくても心は亡くしたくないよねえ」
「私,その元ネタ知ってますよ……」
「格好良く決めようと思ったのに,失敗だ……」
「残念でした」
「さて,前回は凝視法の解説でしたね.一点を見ていると目が疲れてくるという性質を使って,それを暗示で起きていると錯覚させる.さらに,暗示のタイミングが大事で,暗示は反応が起きてすぐに言うということでした」
「はい.私実際試してみましたけど,確かにまぶたは閉じてきましたよ」
「そうだね.この方法を良く使われるのは,それだけ強力だということなんだ.それで,その相手は催眠にかかったのかな」
「いえ,目を閉じた時点でやめちゃいました.なんだか,ちょっと怖かったので」
「そうだね,最初に催眠が成功するとそう感じる人もいるだろうね」
「はい.それに,催眠を使ってやりたいことも,私にはないので」
「うん.わかった.それで,今回は誘導方法をもうちょっと解説します」
「はい」
まるさんかくしかく
「前に解説したように,当たり前に起きる反応を使って,それを暗示で起きていると錯覚させるのが催眠の基本です.とは言っても,きっかけはそれで良いとして,そのあとどうするのかがわからない人が多いみたいです」
「そうですね,私も相手の目が閉じてきて,それでその後どうすれば良いのかわかりませんでした」
「うん.そこで,催眠をやっているときの基本的な公式を教えたいとおもいます」
「はい,楽しみです」
「名づけて『まるさんかくしかく法』!! なんか格好良い響きの名前にしてみました」
「名前なんてどうでも良いですけどね」
「なんか,笑顔でキツイ事言うねえ」
「そうですかあ?」
「うん…….まあ良いさ.これは,三つのパートからできています.先ずは,「○と□」そして「○」最後に「□」です」
「まったく意味がわかりません」
「これで理解したら,こっちもびっくりですが.最初の「○と□」ですが,よく催眠術師が言うせりふ「○○○○すると□□□□になる」というところからきてます.例えば,「1,2,3と数える”と”あなたは立てなくなります」とかですね.この暗示は,普通の会話からしたらかなりおかしいですよね.数を数えることと立てなくなることとは,まったく関係ないでしょう」
「そうですね.かなり突飛な感じです」
「そう.その突飛な事をするのが催眠なわけです.前に説明した,錯覚させる誘導法で,まったく関係ないことも暗示で起こせることができるようになる.そのときに,先ずは「○と□」で相手に何をするか予告することが大事なんです.予告することによって被催眠者は,その暗示される行動をしやすくなります」
「そうなんですか.なるほど」
「そして,「○」の説明ですが,わかりますよね」
「はい.予告しておいた事を実行することによって,被催眠者に合図を与えるわけですね.さっきの例なら「1,2,3」って数を数えるとか.そして,被催眠者に「□」が起きるわけですね」
「そうだね.全部説明してもらっちゃったね.ここで,○の部分は何でもokです.指を鳴らしても,手をたたいても.また,「○と□」は,「○○すると××なる」という文章以外でも可能です.例えば,「私は手から気を出せます」と催眠にかかっている相手に言えば,それは気功を知っている人間なら「私が気をだすしぐさをする”と”あなたは反応します」という「○と□」になります」
「なるほど.直接的に言わなくても相手に伝われば言い訳ですね」
「そうです.実はそれは,現代催眠的の関節暗示とも言えますね」
「そのまま,間接的に暗示するわけですね」
「そういうこと.これが催眠の公式なわけだ」
「はい,理解しました」
公式にあてはまらないもの
「公式なので,どの催眠もあてはまります」
「そうなんですか」
「うん.間接的にやると「○と□」がわかりづらいこともありますが,絶対にこの構造が働いています」
「絶対ですか」
「いや,絶対ではありません」
「えっ? 矛盾していませんか」
「絶対と言いきりたいところだけど,誘導をこれで全部説明できるかといえば自信がないかな」
「じゃあ,このページで募集しましょうよ」
「そうだね.まるさんかくしかく法では説明できない誘導をしました.という方一報ください.いろいろ考えてみたいと思います」
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