催眠の科学

 本当に良い本は,本音を言うとあまり紹介したくありません.私の書いているネタもとだったりするので,そういった本を読んでしまうと,このブログの意味が無くなってしまいます.そんな本の一つが,成瀬悟策・著『催眠の科学』です.副題にあるとおり,きちんと読めば催眠の誤解と偏見が無くなります.
 読んだことがあるけど,脱催眠出来てない人は,読めていません.文字だけ読んで,理解していないのでしょう.また,都合の良いところだけ,都合の良いように解釈しているのではないかと思います.催眠は科学です.しかしながら,私が知っている催眠術師で科学を知っている人はほとんどいませんでした.是非,このほんを読んでほしいです.

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脱催眠論「サイコウにサンコウになる書籍」

 催眠から抜け出すためには,催眠を正しく知ることが一番だと思います.私も昔は催眠信者だったのですが,心理学をきちんと勉強したことによって脱催眠できました.しかしながら,世の中に出回っている催眠に関する書籍は,催眠信者が書いたものがほとんどですから,それを読んだとしても,催眠の深みにはまるだけです.なので,ここでは正しい催眠を知るためにおすすめの本を紹介していきたいと思います.
 まず最初におすすめしたいのが,蔵内宏和,前田重治『現代催眠学―暗示と催眠の実際』です.精神科医のお二人が書いた催眠本です.この本の良いところは,コンパクトに催眠の理論的な部分をまとめてあり,またとても読みやすいところです.催眠のかけ方から理論的な部分まできっちりカバーしているので,初心者でもOKでしょう.
 次に紹介したいのが,成瀬悟作著『催眠面接法』です.言わずと知れた成瀬氏による催眠本です.どちらかというと,専門家向けではありますが,内容はすばらしいです.一通り読んで理解できれば,そこら辺の似非催眠専門家なんて目じゃないです.
 どちらの本もおすすめですが,問題点もありまして,どちらも絶版になっていて手に入らない事,40年も前の著書で最新の催眠の話は出てこないこと,最新の情報がない故に,催眠に過度の期待があることでしょうか.それを差し引いても是非読んで欲しい二冊です.

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脱催眠論「現代催眠とか」

 催眠という言葉は,使う人によって様々な意味になります.そこら辺の事は何度かこのブログにも書いていますけど,それは催眠について文章を書くときに困る一つの原因です.催眠に関する共通の認識がないんですよね.このブログのコンテンツのひとつにある爆笑催眠講座では,大胆にも分かり易く分類しているんですけど,それが標準というわけでもないですし,催眠で商売している人は,催眠が色々な意味を持つ方が商売しやすいですしね,この傾向は変わっていかないのかなあ,と最近は思います.
 さて,催眠の定義ばかり話していても仕方がないので,そこをすっ飛ばしてちょっと違う話を書きたいと思います.それは現代催眠について.現代催眠とは,医者であったエリクソンという人が使った催眠の事です.彼の使った催眠は,それまでの儀式的な催眠とは違って,催眠という言葉も,何かを見つめさせたり,頭をぐるぐる回したり,何度も暗示を唱えたりすることなく,自然に話しているだけで催眠にしてしまうという,まったく新しい物でした.この現代催眠は,大抵古典催眠と言われる儀式的な催眠に限界を感じると,みんな手を出すようです.その昔,僕がオフ会に参加していたころ,やはりある程度催眠が出来る人たちの間である本が流行しました.その名も「催眠誘導」という本です.エリクソンの催眠をグリンダーとバンドラーが公式化したようなものです.この本は,確かに現代催眠の片鱗を知る上では役に立ちました.しかし,翻訳ものだしちょっとわかりにくいところもありました.それでも,本に書いてあるエクササイズなどをやって,現代催眠の感覚をつかむことはできるでしょう.
 つぎに,「コミュニケーションのための催眠誘導」という本が流行りました.現在では,コールドリーディングで有名になった石井さんが書いた本です.この本は,エリクソンの催眠を恋愛に応用するという形で分かり易く書かれたものです.使われる例もわかりやすく,まるで催眠とは思えないテクニックに,当時私もかなり影響を受けました.そして,何度か石井さんの勉強会に参加させてもらいました.そこで,石井さんの現代催眠の誘導法を見たり,体験したのが,実はその後の私の催眠に関する考えにとても役に立ちました.今では,もう催眠のワークショップはやらないでしょうから,貴重な体験と言えるでしょうね. 
 さて,そんな現代催眠のテクニックから有名なダブルバインドを取り上げましょう.選択肢を提示することによって,どっちを選んでもこっちの思惑通り,みたいな方法らしいです.らしいというのは,本来の意味でのダブルバインドは,ちょっと違うからです.まあ,といってもむつかしい話はおもしろくないので,その選択肢を選ばせるのをダブルバインドとしましょう.この方法の解説を聞くと,なるほど,たしかに,使える,等と思うかも知れませんが,実際問題,選択肢をだしても,どちらも拒否されたらおしまいです.というか,私が実際使ったときに,どっちも嫌だと言われたことは何度もあります.この,ダブルバインドは解説ほど上手くはいかないし,そこまで強力ではありません.ここらへんは,これまたこのブログで書きましたけど,どの技法と呼ばれる物も必殺技ではないので,それをやれば必ずこうなる,という物ではないんですね.それにしても,ダブルバインドはそれだけでは上手くいかない.足りない物があるなあ,と私は思います.
 日本の野球界の英雄,長島茂雄さんがいますよね.彼はとっても野球が上手いです.しかし,野球指導の時のVTRをみると「ビューっと」とか「ズバッと」とか擬音で表現して,なかなかそのコツがつたわりません.その動きが出来ることと,それを伝えることができる能力は別なんだなあと思います.催眠に関しても,素晴らしいショー催眠をする人でも,人に教えるときに,良くわからない曖昧な言葉しか言わなかったり,つじつまが合わなかったり,どうとでも解釈できる言葉だったり.それでも,その人の下で練習していれば,それなりに出来るようにはなるでしょう.だけど,それはその人の指導が無くても,それだけ練習していれば出来るようになったでしょう.ダブルバインドも,上手くエリクソンの方法を解説しているけど,実はそれだけでは全然足りないんですよね.グリンダーとバンドラーは,すごい人たちでダブルバインドも使いこなせているのかも知れませんが,伝えるときに重要な部分を伝え切れていないと思います.石井さんの勉強会ではそこら辺のことも何度も聞きましたが,それは本には書いて無かったと思います.私がこのブログであえて書いてない部分は,その石井さんが本に書いていなかった部分とほぼ同じなんですよね.
 現代催眠は,小手先のテクニック解説では使いこなせないなあと感じています.というか,大事な部分がわかれば,逆に小手先のテクニックはいらないんですよね.さあ,それは何なんでしょう? みなさんも考えてみてはいかがでしょうか.ヒントは,ここで紹介する本の中にあります.読んで気づいて,是非脱催眠してください.

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脱催眠論「アンジ」

 暗示とは何か.それは,催眠を話題にするときに避けて通れないものです.大雑把に言ってしまうと,催眠とは”=暗示”と”=トランス状態”のふたつに集約されると思います.今回は暗示について重点的にお話ししたいと思います.
 現在,暗示だと言われているものを知っている範囲で挙げてみたいと思います.先ずはもちろん,催眠術師か使う暗示です.そして,今あなたが読んでいるこの文章も暗示です.私は今あなたに,脱催眠の暗示をしているのです(笑).他には,テレビのCMや広告も暗示です.あれらは,あなたに商品を買わせようと暗示しているのです.あとは,あなたの行動も暗示です.例えば,あなたが仕事で怠けたら,それが自分自身への暗示になって,さらに怠けてしまうでしょう.他には,思いこみは全て暗示です.こんなクイズがあります.「F1レーサーが一方通行の道路を猛スピードで逆走しているところを,警察官に見られても捕まりませんでした.何故でしょう?」.すぐに答えられなかった人は,「F1レーサー」という単語から暗示を受けています.「F1レーサー」という言葉には「=車に乗っている」,という暗示があるのです.実は,このF1レーサーは,一方通行の道路をジョギングしながら逆逆走していたのです.こんなクイズにも暗示が潜んでいます.
 さて,とりあえず考えつく暗示と言われているものを挙げてみましたけど,この中で催眠に関係する暗示とはどれでしょう? 全部でしょうか? 私は,それぞれの一部は催眠ですけど,催眠ではない部分も多いと思います.例えば,最後の「思いこみ」に関しては,催眠で使う部分もあれば,催眠とは全く関係ないものもあるでしょう.それを,思いこみはすべて暗示であって,催眠であるというのは暴論だと思います.
 思いこみに関しては,とても良い本があります.分類すると,認知心理の本になるでしょうか.『クリティカル進化論』 という本なのですが,漫画の『OL進化論』を題材に,人間がしてしまいやすい思考の落とし穴,思いこみについて書いています.この本は,私が催眠信者に最初に薦める脱催眠本です.これを読むと,催眠の宣伝のおかしいところや,へんてこ催眠理論のおかしなところがわかります.それとと同時に,思いこみについて理解することによって,それを催眠にも応用できるのです.
 私も昔は,「催眠=暗示」と思っていました.世の中は暗示だらけで,すべてが催眠だとも.しかし,心理学や論理的思考を勉強するにつれて,そのおかしさに気付きました.例えば簡単な事だと,「催眠はトランスだ,だからトランスは催眠だ」という考えがあります.そこから,トランス状態である,映画を見ているとき,リラックスしているとき等も催眠である,とおもってしまっています.これは一読すると正しいように思えますが,実は正しくないのです.催眠はトランスの現象の一部を指すもので,トランス全てが催眠ではないのです.これは,高校の数学で習う考え方ですが,AならばBが真の時,対偶は必ず真ですが,逆や裏は必ずしも真ではないという事です.他の例だと,「人間はほ乳類だ」は正しいですが,逆の「ほ乳類は人間だ」は正しくないですよね? ネズミもほ乳類ですから.「さっきの催眠はトランス」だというのも全く同じ事なんですが,トランスは催眠だ,という事を素朴に信じている人が多いように私は感じます(もちろん,「催眠は暗示だ」も同様です).是非,そんなことをもう一度良く考えて欲しいなあと思います.
 暗示に話を戻しましょう.「あなたはだんだん眠くなる」という台詞も,テレビCMも思いこみも全て暗示なのでしょうか? そして,暗示であるなら全て催眠なのでしょうか? テレビCMや宣伝は,社会心理学の分野で研究されています.もしあなたが,CMや広告に興味があるのなら,社会心理学の本を読み始めてみてはどうでしょうか? 思いこみに興味があるのなら,認知心理学の本をお薦めします.どちらも催眠ではありませんが,催眠以上に使えるものがあるでしょう.
 そろそろ今回の話は終わりです.もし,私が書いたこの文章が暗示だとしたら,読んでいるあなたに少しでも考えるヒントを与えられたら嬉しいです(笑).しかし,結局催眠で言うところの暗示とは何でしょう? 私は,社会心理学や認知心理学を勉強して,自分なりの答えを見つけています.そこらへんの事はブログではあえて書きません.みなさんも自分自身で改めて考えてみてください.催眠とは何か,暗示とは何か.そのためには,催眠をもう少し冷めた目で見ることが必要だと思います.その方法として,是非心理学の本を手に取ってみてください.これから,出来るだけ考えるきっかけになる書籍をご紹介していきたいと思いますので.では,次回をお楽しみに

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脱催眠論「はじめに」

「あなたは催眠を使って何がしたいですか?」.私は催眠に興味がある人を前にしたときに,何度と無くこの質問を繰り返してきました.もし,あなたが「心理療法に使いたい」と言うのなら「催眠療法なんていうものはないし,他にもっと優れた方法があるでしょう」と答えます.「ビジネスに」と答えるなら,「もしあなたが要らないものを催眠を使って買わされたらどう思いますか?」と問います.他にもたくさんの答えがあるでしょうが,そのどれかに催眠じゃなくては出来ないもの目的はあるでしょうか.実は,催眠でしか実現できない目的は催眠そのものしかありません.ただ単に催眠が出来るようになりたい,催眠を覚えてテレビに出たい,それなら催眠しか方法はないでしょう.
 これから書き始める「脱催眠論」は,催眠が目的な人には全く必要のない事が書かれるでしょう.もし,あなたが催眠を催眠以外の他の目的に使いたいなら,この論を最後まで読めばそのヒントを得ることが出来ると思います.それと同時に,催眠じゃなくて良いんだ,もしくは催眠じゃないほうが良いんだ,と思えるのではないでしょうか.なぜなら,催眠を催眠以外の目的で上手く利用しようとすればするほど,それは催眠では無くなっていくからです.しかし安心下さい,その残ったものは催眠のよけいなものを取り払ったより純粋な催眠な訳ですから.今あなたが考える催眠という概念をぶっ壊して,あなたの目的のために使える本当の催眠を呈示していけたらと考えています.
 本論では,まず催眠とは何かという話をします.一部の人は,何でもかんでも催眠にしたがるようですが,それが本当に催眠なのか考えたいと思います.次に,催眠の誘導技法の変化をメスマーの動物磁気の辺りから,ブレイド,エリクソン,という感じで説明したいと思います.それと同時に催眠にまつわる諸説を.他には,いかに催眠が使えないかを検証していきたいと思います.また,催眠が出来る人が催眠に失敗したときに使う理由について考えてみたり,催眠業界の裏話なんかも出来たら良いなあと思っています.これらは,現時点での予定なので,予定通りにかけるかは保証できませんので先にご了承下さい.
 コメントは,応援励ましから疑問質問,批判罵倒まで幅広く受けてつけています.ただし,こちらの判断で削除したりする事がありますのでご了承下さい.

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